平成26年3月号 フィギュアで綴る日本古代史(その1 縄文時代)

今月から3回に分けてエポック社のカプセルコレクション(ガチャポン)から歴史ミュージアム「埴輪と土偶+土器&青銅器」を紹介します。

第1回は「縄文時代」。
眼鏡をかけたような土偶、ハート形の顔をした土偶。当時の人たちは、現代人の感覚ではとても理解できないような形の土偶をどういった思いでつくったのか。
小さなフィギュアを見ながら考えさせられてしまいます。

 

まずは今から4〜5千年前、縄文中期の長野県棚畑遺跡から出土された「ヴィーナス土偶」(茅野市尖石縄文考古館蔵 国宝)。
シンプルなボディライン、少女のようなあどけなさを残した表情、まさに「縄文のヴィーナス」。
右の写真のように後ろから見ると、頭に渦巻きや文様があったりする。これは髪型なのか、被り物なのか。
正面から見るとおかっぱ頭のようにも見える。やっぱり少女かな。

  

次は縄文時代後期(前2000年〜前1000年)のみみずく土偶(埼玉県滝馬室遺跡出土 東京国立博物館蔵)とハート形土偶(群馬県東吾妻町郷原出土 個人蔵 東京国立博物館寄託)。いずれも重要文化財。
縄文時代も後期になると、現代人の感覚ではとても理解できないような造形になってくる。
全身を覆う渦巻きや直線の文様といい、髪型といい、縄文の人たちは何を考え、何のためにこのような土偶を作ったのだろうか。
いずれも女性の像なので豊穣や安産を祈ったのだろうか。説得力のある答えは見つかっていない。

  
(左がみみずく土偶、右がハート形土偶)                      (後ろから見たところ。髪型がユニーク)

土偶の最後は縄文時代晩期(1000年〜400年)の重要文化財・遮光器土偶(青森県亀ヶ岡遺跡出土 東京国立博物館蔵)。
晩期になるとさらにわからなくなってくる。
サングラス(=遮光器)をかけたような顔は眠そうな表情にも見える。
そして全身の文様や奇抜な髪型。

  

ただ共通しているのはどの土偶の表情も愛嬌があってかわいらしいところだ。
謎多き土偶、でも、だからこそ縄文時代の人たちが土偶に込めた思いを想像するだけでおもしろい。

 

謎が多いのは縄文式土器も同じだ。
これは縄文時代中期の国宝・火炎式土器(新潟県十日町笹山遺跡出土 十日町市博物館蔵)。
燃えさかる炎のように天に突き出した取っ手、直線や曲線の文様、煮炊きするだけならこれだけの装飾は必要ない。
何か儀式のようなものに使ったのだろうか。

 
(次回は「弥生時代」です)

「今月のコレクションボックス」に戻る